バートン・フィンク(Barton Fink)

"難しい映画はいかにして難しいのか"

 


Barton Fink (1991) - Original Theatrical Trailer - YouTube

 

最近は映画だけでなく、文学にも手を伸ばしてみようと思い、書店で一番薄かったカミュの「変身」を買ったのが早2ヶ月前。進んだページはわずか30ページと、難解な文章に苦戦しています。難解というか、単調。まだ僕には早かったみたいです。

 

世の中にはこういう「難しいもの」っていっぱいあると思います。「変身」の場合は僕にとっての難しさですが、芸術ってすごく難しいものだと思います。比喩がすごく難解だったり、そこに皮肉や批判が混じっていたり。今回の映画"バートン・フィンク"もその類なような気がします。

 

物語は、劇作家がB級映画の脚本にチャレンジするものの、なかなかうまくいかず〜みたいなお話。監督はコーエン兄弟。個人的にあの暗い感じというか、ずる賢いというか、そんなちょっとダークなところが好きです。

 

"バートン・フィンク"でもそのコーエン節みたいなものが存分に楽しめて、何がいいかってとにかく気持ち悪い笑

剥がれ落ちる壁紙、廊下に並ぶ靴、そして受付のスティーブ・ブシェミ!たまらなく陰湿。バートンの内面を表していて、幻覚なのか現実なのか、うまく区別がつけられません。

 

そう、この作品は何が難しいかって、比喩や皮肉が多いのももちろんそうなんですが、どれが現実なのか考えるとわからなくなってくるというところ。夢オチなんて映画は多いように思いますが、今回はそれがわからない。夢といえば夢、現実といえば現実。その境界をわからないように撮るコーエン兄弟。なかなか好きです。

"シャイニング"くらいわかりやすいと、ホラーとして楽しめるものの、今回は自分がそこにいて実際にわからなくなってくる感覚があります。

 

観た日に感想を書くってのを目標にやっているブログではありますが、今回は相当時間がかかってしまいました。1回だけではなかなかわからない部分もあり、それこそすごく難しかったです。

 

ジョン・グッドマンの笑顔が素敵な映画でした。

 

たまにはこういうダークな雰囲気を覗いてみるのもいいかもしれません。