グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)
"与えられたもの、選ぶ道"
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち - 予告編 - YouTube
就活で自己分析なるものを一丁前にしてみると、自分の得意なことや苦手なこと、好きなことなんかがわかります。それが誰の目から見てもわかるものって場合は苦労しないものの、なかなかわかりづらいものだとすごく困ります。僕はそんな状態でした。
てなわけで今回は"グッド・ウィル・ハンティング"。言わずと知れた名作です。監督は"マイ・プライベート・アイダホ"のガス・ヴァン・サント。主演にはマット・デイモンやロビン・ウィリアムス。天才だけど階級は低い、そして小さい頃の問題が後を引いている若者が自分を探す物語です。
外側から感想を書いていくと、まずなんといってもカットが美しい。温かみのある色づかい、いい感じの距離感。そして今回はDVDでよかったな、なんてことも思いました。Blu-rayとは違い、少し荒くて、色あせたような映像がたまらなくフィットしていました。98年の映画なのでそんなに古くはないものの、すごくいい感じに映ってます。
そして内容。
テーマはきっと、本当の愛ってなんなんだ。ってことだと思います。ロビン・ウィリアムスは、奥さんという本当に大事な人を見つけ、失っている。一方マット・デイモンは愛されること、自分を知られることに恐怖して、直前で逃げ出している。
この対比がすごくわかりやすくて、だからこそこの映画は成り立っているように思います。
そしてもうひとつ、就活生としてぐっときたのは、「どの職業も誰かの役に立っているから、職業に位はない」というマット・デイモンのセリフ。お前天才じゃんかだからそんなこと言えるんだよ!とは思いつつも、たしかに間違ってはいないと思います。「世界は誰かの仕事でできている」なんてCMがありますが、本当にそうだなと最近ひしひしと感じます。
まあでもこの件は何がいいかってその後のシーンで親友役のベン・アフレックが、「俺とお前は違う。お前が20年後も建設現場で働いていたら俺はお前を殺す。」って。適材適所とはよく言ったものですが、能力が活かせるところで仕事をするという責務を感じました。余談ですが、高校のときもそんなようなことを言われました。その点に責務があるって。
はい、"グッド・ウィル・ハンティング"。なかなかに良作でしたが、単調に進んでいく手前眠くなるということと、ヒロインが可愛くない。この2点はちょっとあれでした。
こんな感じで、今回は終わります。
WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常
"つながり"
「WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜」予告 - YouTube
最近は東京も涼しい日が続いて、若干過ごしやすくなりました。
夏の間は暑いってことでなかなか外には出られませんが、そんなときこそつながりなんてものを意識させられます。
というわけで今回観た映画はこちら、"WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常"。邦画です。そしてなんか久しぶりに良作に出会ったような気がします。
記事にしてないものの、一応"トラップ"とか"ファーナス"なんて作品を観ていました。がしかしですね、記事にしたくてもなかなか気が進まないくらいにおもしろくなかったんです。
本当に良作に出会えてよかったです。
お話は、ある青年が林業に挑戦しながら成長していくというもの。主演は染谷将太、そして脇を固めるのは伊藤英明やマキタスポーツ。なんといってもヒロインは長澤まさみです。そう、長澤まさみです。
いつもだとここから長澤まさみの話に変わっていくんですが、今回はちゃんと映画の話をします。なにせ良作なので。
何がよかったかっていうと、とにかくこの映画は暖かいんです。ゆったりとした田舎の村で、仲間と一緒に林業を行う。田舎だからこそのあの感じが目一杯伝わってきます。余所者だった主人公がだんだんと受け入れられてく過程を、ユーモラスに描いている。ゆったりと、クスッとくるような展開です。
村によくある、山の神のような宗教的な考えについてはよくわからないものの、そういうものを大事にしている風景もわかりやすく映ってました。
主演の染谷将太も、最初はなよなよしているものの、東京から来た大学生集団に「帰れ」っていうくらいまでには成長するし、そんなこともあって伊藤英明が海だけではなく山でもアツい男になっている。
そして最後はやっぱり長澤まさみ。あのタオルを掲げるシーンは見ものです。
ラストシーンもすごくよくて、自分の生き方を見出した感じがすごくよい。
就活がもう少しで終わるっていう状況でこの作品を観て、やっぱり自分の生き方について考えるって大事だなあと思います。
人とのつながりが薄れている〜なんて言われることが多い今、溢れているコンテンツに惑わされることなく原体験的なものに目を向けるのもありなのではないかと、個人的に思います。
作品はさっきも書いたようにコメディ調なので、ゆったり楽しめるかと思います。
都会に疲れたなあ、なんてときにぜひ見てみてください。
蜩ノ記
"所作"
映画 「蜩ノ記」 特報 役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子 - YouTube
就活の軸ってよく聞かれるんですが、実はその中に「スーツを着なくていい職種」というのがあります。第一印象とか礼儀とか、そういった面でスーツを着ることは理解してますが、しかしまあ動きづらい。そして暑い。僕は矛盾だらけです。
さてさて、そんなスーツ着たくない僕が今回観たのは、"蜩ノ記"。直木賞を受賞した同名小説を映画化した作品です。
10年後の夏に切腹を命じられた武士を監視する業務についた武士のお話。そうです、時代劇です。
ストーリーは申し訳ないくらいに観てなかったんであまり詳しく書けないんですが、じゃあ何を観てたのかって、「所作」です。とにかく美しかったです。所作からにじみ出る雰囲気というか、空気感みたいなものがとにかく美しい。話の内容も確かに大事かもしれませんが、今回に関してはそこにばっかり注目して観ていました。
たまにはしっかりスーツ着るのもいいかなって思える映画でした。
このままでは割と中身のない内容になってしまうことに、書きながら危機感を感じているものの、今回は短くこの辺で終わります。
たぶん時代劇は苦手です。
父の秘密(Despues de Lucia)
"長いものは重たい"
だいたいいつもこの時間になると、あー映画観たいなって中毒的に思うようになりました。この時間帯がすごくちょうどいいんですよね。アクションを観るにも、SFを観るにも、はたまたドラマ、そしてホラーやサスペンスなんかも。夜の時間ってすばらしいくらい万能です。ちなみに明日は朝早いです。
はい、夜の時間にはすべてのジャンルが合うとは言ったものの、その中でも特に1人で考えてしまう映画なんてのは夜にしか観れません。なんでかって、昼の明るさでは考えてるのがあほらしくなるからです。
てなわけで今回はすごく重たかったです。タイトルは"父の秘密"。開始すぐにお母さんがいないことに気づくので、てっきり親父の人知れぬ努力とか、実は次の人と恋してるんだけど...な展開を期待してました。
いやまあ見事にやられましたね。
先にオチの方から言ってしまうと、主人公は確かに父親であることは間違いないんです。けどしかし、物語の大部分は娘が主人公なんです。少なくともそう見えます。
この点に関して言えば、ものすごく邦題をつけるのがうまい。なかなかない例です。
物語は、すごく簡単に言えば、娘がいじめにあってしまうというもの。最初父親はそれを認知していないが、認知した後は〜ってほとんどストーリー書いちゃいました。
でもそんなことは関係ないんです。
なんでかって、今回注目したいのはカメラワークだからです。
カメラワークなんて観てる暇ないよ!な方がほとんどだと思いますし、実際僕もかじった程度しか知りません。しかしですね、今回の作品は誰が見てもわかる。そしてその重圧を感じるカメラワークなのです。
長回しです。
ずーーーっとカットせずにひたすら写し続ける。すんごく重たくなります。今回は定点でずっとひたすら1分以上回してます。正直耐えられないです。飽きるとかではなく、とにかく重いんです。題材がまず重いのにもかかわらず、けっこう長くカメラを回すもんだから、さらに重い。もう観たくない作品の部類に入ります。"セブン"とか、"ダンサー・イン・ザ・ダーク"の仲間です。
感想に関しては、2点。
・海外でもいじめは存在するし、狂気は止まることを知らない
・職人の親父は怖い
こんな感じです。多分誰もが思うことだと思います。
ひたすらに重い作品ではありますが、たまには気分を変えて、長くて重い世界に浸かってみるのもありなのではないでしょうか。
ちなみに長回しといえば、"誰よりも狙われた男"のラストシーンが見ものです。是非一度ご鑑賞あれ。
シェフ 三ツ星フードトラック始めました(Chef)
"こころあたたまる"
映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 予告編 2015年2月28日(土)公開 - YouTube
今一番欲しいものはシェフナイフとペティナイフです。ちゃんと大学生やってますよ。らしからぬ発言ですが。
ということで今回観た作品はこちら、"シェフ 三ツ星フードトラック始めました"。
これを観ると料理したくなります。ほんとに。出てくるものが美味しそうだし、なんといっても主人公がシェフ。そうです、僕は影響されやすい人です。ちなみに最初の夢はジェダイでした。
はい、ということでまずはストーリーから。
街中のとあるレエストランで働くシェフのカール。創造的な料理を作る才能を持ちつつも、オーナーからはいつも通りのオーダーを作れとの指令。そんな毎日に嫌気がさして、店を辞めてしまうことから始まります。そしてひょんなことから始めることとなったフードトラックでの旅で、本当に自分がやりたいこと、そして家族の絆を見出していく。といったお話。
よいです。
ストーリーも無理がなく、オーナーとの件、SNSの件なんかは現実味たっぷりだし、皮肉もたっぷり。タイトルにシェフとあるだけあって調理シーンにもこだわっているし、なんといってもそれぞれの人生が想像できる。それでいてラストもうまくまとめているし、予想外の展開はないものの、すごくよい作品でした。
俳優陣も結構豪華で、監督兼主演のジョシュ・ブローが"アイアンマン"の制作に携わっているおかげでロバート・ダウニー・Jrとかスカーレット・ヨハンソンが出演しています。
キャストで今回注目したいのは、カールの元妻役のソフィア・ベルガラ!今年で43歳とは思えないほどのスタイル、そしてきれい!メキシカンな英語なまりもたまらない。
必見です。
さてさて、作品を観ての感想に移ります。感想は2つ。
1つ目は、料理ってすばらしい、ということ。
誰もが生きる上で外せない行為といえば、食。今回はその食にとことんこだわってるし、観終わった後に必ずキューバサンドが食べたくなります。食べること=幸せの構図がこの映画にあふれていて、観ているこっち側も食に幸せを感じられそうです。
2つ目は、家族って大事だし、なんかすごくいいなってことです。
すごく大雑把な感想だけど、間違いなくこれは思います。今回は離婚によって距離感が難しい状態から始まるものの、離婚があるからこそ、家族の距離っていいなって思います。ネタバレになるのであんまり書けないですが、フードトラックで旅したあとの息子からのプレゼントがもうたまらない。一緒に過ごせる時間、その密度について今一度考えます。
ざっとこんな感じです。家族の距離については、日本とアメリカでは考え方が違うなって思うと同時に、共通している距離感みたいなものを感じることができてよかったです。
晩御飯を食べる前の夕暮れ時、ちょっと家族で観てみるなんていかがでしょうか。
観終わった後に、みんなで美味しいご飯を作って美味しい時間を楽しんでください〜
グレート・ビューティー/追憶のローマ(La grande bellezza)
"紙一重"
映画『グレート・ビューティー/追憶のローマ』予告編 - YouTube
はい、現在北海道に帰省中ですが、あいにくの雨。正確に言えば雨振りそう。東京ほどではないけど、じめじめしています。
ということで今回観た映画は、"グレート・ビューティー/追憶のローマ"。観たよ!って人が極端に少ない映画も僕は観ます。良作に当たることもあれば、駄作に当たることもしばしばありますが、今回の映画、とにかく難しい。
馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものですが、今回の作品。きっと天才です。しかしそう見えて実は馬鹿の方かもしれません。それくらいわけがわからない映画でした。
映画の内容というと、老年を迎えた小説家の、豪華な生活・空虚さを描いている(はず)です。セレブのパーティーで騒ぎつつもそんな日常にどこか飽き飽きしている主人公。そんなある日、初恋の女性の訃報が届き、執筆活動を再開しようとする。といった感じでした。
この映画は、理解するというよりもまず音楽と映像を楽しめます。すごく優雅な時間になること間違いなしで、もはや部屋でずっと垂れ流しでもいいんじゃないかと思います。"ローマの休日"とはまた違った美しさを観ることができます。僕は"ローマの休日"派ですが。
音楽に関してもすごく心地が良い。ほんとBGMになります。
さて、この作品で考えたいことといえば、「芸術」と「自己満足」の線引きについてです。考えたいとはいいつつも、もはやわかりません笑
きっと、もっと大人になっていろんな経験をした後でないと、理解できないように思います。このままだと感想として成り立たない気もするんですが、書きたいことがまとまらないので、気になる方は一度観てみてください。そして教えてください。
今まで観た作品の中で、トップ10に入るほど難しい作品だったように思います。こんな気分になったのは"家族の灯り"以来です。"家族の灯り"についてはまた別の日に書きたいと思います。
馬鹿か天才かを見分けられる人っていうのは天才なんでしょうかね。年を重ねれば重ねるほど視点が増えるっていうことで、今回の作品はまた時間を置いて、大人になってから観ます。
そんな感想ではない感想でした。
ダイバージェント(Divergent)
"秘密は秘密のままで"
はい、いよいよやってまいりました。570本も映画を観ていると、ときたまこういう作品にぶち当たるものです。予告とぜんぜん違う!なんていうのは割と日常茶飯事なのですが、そんなレベルのものではありません。
救いようがない作品ってあるんです。
そんな残念だった映画がこちら、"ダイバージェント"。残念だった点をざっと挙げるとこんな感じです。
・大々的に宣伝していたので期待していた(少しは見所あるかと思ってました)
・話がぜんぜん想像と違う(マトリックス的なものと思ってました)
・アクションもド派手ではない
・設定がなんか雑、ツッコミどころ満載
・何を言いたいのかわからない
・やたら長い
この5点だけでもう救いようがないです。なんか、感想書くのも嫌になるくらいの映画でした。でも少しずつ頑張って感想書きます。
1点目、2点目、3点目。予告編がずるい。話が違うじゃないか。なんだこのアクション。
予告編に騙されるってよくある話ではありますが、ほんとにいいとこどりしてるなって思います。「どれにも分類できない」ってマギーQさんが言うところはすごく期待してしまう。からこそ観ていて残念でした。その後に続くスパイアクションのような緊迫感、ここぞという時のアクション、そして「覚醒せよ」の文字。ずるい。だって覚醒してないんだもん。してなくはないけど、「あ、今覚醒した!」みたいなものが感じられない。覚醒ってのは、マトリックスのネオみたいなものを言うのであって、今回のアクションシーンなんて全然。"ザ・レイド"あたりを監督に見せたいです。
4点目。設定が雑。
SF映画って、話が未来である以上多少設定に無理があるのはしょうがないと思ってます。にしても今回は全然わからないし、矛盾してるように見える。さすがにちょっとアレなんじゃない?って感じです。現実に寄せるか、シュワちゃん版"トータル・リコール"くらいぶっ飛ばさないと、よくわかりません。
5点目。ダイバージェントが世界を救う?滅ぼす?
を期待してたのに、あんまり萌えないメロドラマちっくなもので終わります。愛は正義を救うのだ〜なんてオチは期待してません。
6点目。長い。
長いです。すんごいアクションを期待していた分、なかなか変わらない展開にいらいら。映画全体も139分と長め。この内容なら90分に収めて欲しかった...。
今回の作品、救済があるとすれば、原作があるということ。個人的なイメージだと、「ハリー・ポッターの1~3くらいまでの内容を映画1本にまとめちゃいました!」って感じです。もしそうじゃないとしたら、やばいです。原作は読む気にすらなりませんでした。アメリカでは売れたらしいですが。
あ、あと個人的に注目したのは主人公役のシェイリーン・ウッドリーさんとその弟役のアンセル・エルゴート。"きっと星のせいじゃない"って映画で恋人役です。ちなみにこっちはすごくおもしろいしいい作品でした。
そして最後にもう1点。マギーQさんはやっぱりきれいでした。