ぼくを探しに(Attila Marcel)
"記憶の期限"
今日の晩御飯は何にしようかな。あれ、昨日の晩御飯何食べたっけ。そんなことを考えながらスーパーの野菜売り場でかれこれ10分自分の記憶を辿っていました。
ちなみに昨日はチキンサラダで、今日は唐揚げです。
さてさて、記憶は一体どこまで持つのか。冷蔵庫の奥底の野菜のように、忘れられ、腐り、捨てられるようなものなのか。それとも添加物いっぱいの某ファストフード店のように、いつまでも残り続けるのか。
今回観た作品は、自分の過去の記憶を遡っていく映画です。記憶を遡って、自分を探していく。まるで自己分析ですね。
まあそんなことはさておき、ストーリーを。
親を亡くしてしまったショックで話すことができなくなってしまった青年は、ピアノの才能があるものの大会で優勝まではいかない。普段は親戚のおばさん2人と、彼女らが経営するダンススタジオのピアニストとして日々を過ごしている。
そんな彼はひょんなことから階下に住むおばさんと交流するようになり、なんとそのおばさんは記憶を呼び起こすセラピーをやっていた!
そして記憶を遡るうちに衝撃の事実が...。
びっくりマークを使ったものの、物語は静かに、楽しげに進んでいきます。さすがフランス映画、メルヘンちっくな明るい色彩、おちゃめな音楽、おしゃれです。そう、この作品で特筆すべきところは、おしゃれであるということ。
いきなり予定がなくなった天気のいい平日。誘おうにしてもみんな仕事だし、家でゆっくりしようかな!な映画です。ほんとそんな感じです。
だんだんと明らかになる過去、重すぎない展開、目に優しい色彩。いい休日にしてくれそうです。
この作品を観ながら、自分の記憶はいつから残っているのか、記憶の期限みたいなものについて自分の人生を考えてみるのもおもしろいかと思います。